胆石症は、よく知られた病気です。胆石症の種類には、胆嚢内にできる胆嚢結石症と胆管内にできる胆管結石症と肝臓内にできる肝内結石症の3種類があります。それぞれの胆石のできる部位により治療法も異なってきます。(図 胆石のできる部位参照)
ここでは胆嚢内と胆管にできる胆石について述べます。胆嚢内にできる胆石症は、コレステロールからできる石が最も多く、次に胆汁色素であるビリルビンからできる石と黒い色素からできる黒色石などがよくできます。胆嚢は、肝臓で作られた消化液である胆汁を貯めておくタンクです。肝臓で作られた胆汁は、胆管という管に集められ肝臓をでて十二指腸まで流れていきます。この管ー胆管の途中に胆嚢という袋がついています。この胆嚢では、胆汁を貯めるとともに、胆汁の濃縮を行います。そして食事をするとこの胆嚢が収縮し、濃縮して貯めてあった胆汁を十二指腸に排出します。
胆石症の典型的な症状は、食事のあとーとくに油こいものを食べたあとにでる上腹部の痛みです。しばしば嘔吐を伴います。これを胆石発作といいます。このような激しい痛みがなくても、鈍い痛みや背中の痛みあるいは右肩の痛みがでることもあります。発作に伴って胆嚢自体の炎症が起こると、発熱がみられます。つまり胆石発作で熱が出た場合は、重症ということになります。
胆嚢結石の治療としては、薬による溶解療法、器械を使った破砕療法、手術療法がありますが、溶解療法と破砕療法は、その治療の対象となる胆石症の状態に制限があり、どんな石でも治療できるわけではありません。手術療法は、すべての胆石症が適応となります。また胆嚢炎をおこした胆石症の場合は、手術が必要となります。
胆嚢結石症の手術は、1990年から内視鏡を使った手術ー腹腔鏡下胆嚢摘出術が始められました。従来の開腹手術と異なり、臍部(へそ)と上腹部とわきばらの4ヶ所に3mmから12mmの小さな穴をあけて、そこからおなかの中を観察する内視鏡と細くて長い手術器械をいれて、手術を行います。手術は、石をとるのではなく、胆嚢自体を切除します。これは、胆石を生じたような病的な胆嚢を取り除いたほうがよいという考え方です。術後は、経過が順調であれば、3日から1週間で退院となります。
胆管に結石がある場合は、あらかじめこれを胃カメラのような内視鏡を使って、十二指腸から胆管内の結石を取り除く手術を行ってから、腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。
症状のない胆石症は、手術する必要がないことが多いのですが、胆嚢自体に変化がある場合や胆管結石を合併する場合は、手術が必要となります。
胆石のいろいろ
―コレステロール系石―
もっともよくみられる胆石です。1個の場合から数百個の場合まであります。
―黒色石―
最近多い、若い人ややせた人によく見られる色素系の石です。
図)胆石のできる部位
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