おなかクリニックの大腸内視鏡検査は、適切な鎮痛と鎮静で不快感を最大限おさえているため、お気軽に受けていただけます。
大腸内視鏡検査について
がんによる死亡原因として大腸がんは、女性では1位、男性では3位です(2019年)。大腸がんは内視鏡検査で早期に発見できれば、生活にほとんど影響を及ぼさずに治療し、完治することも可能な病気です。
ところが、健康診断あるいは大腸がん検診で、「検便の検査(便潜血反応)で陽性」となっても、大腸内視鏡検査を受ける方は半分程度です。これは大腸内視鏡検査を気軽に受けられる医療機関が少ないことも原因のひとつだと感じていました。
おなかクリニックを16年前に設立するにあたって、「気軽に大腸内視鏡検査を受けられるクリニック」を作るということも大きな目的のひとつでした。
不快感を最大限抑えた大腸内視鏡検査
おなかクリニックでは患者さんのお気持ちやお身体、そして時間的なご負担もできるだけ少ない大腸内視鏡検査を行っています。痛み止めの薬と眠くなる薬を使った適切な鎮痛と鎮静で検査に伴う不快感を抑え、そして炭酸ガスを使ってお腹が張る時間を短くしています。
また、熟練した専門医による高精度の検査をできる限り短時間に行えるよう心がけています。クリニックですので、検査日時も比較的自由にお選びいただけますし、1ヶ月以内に検査予約ができるよう努力しています。
おなかクオリティの大腸内視鏡検査
入口から一番奥の盲腸までの到達率は、院長の場合99.5%です。
おなかクリニックでは、大腸内視鏡検査の盲腸到達率や所要時間、ポリープ切除の割合などをデータで管理し、高いクオリティを保っているかを常に検証しています。
大腸内視鏡検査の流れ
1一度受診してください
大腸内視鏡検査を受けるには、事前に一度来院していただきます。診察を行い、大腸内視鏡検査が必要であるかどうかを判断します。そして、後に述べる検査などの危険性について説明し、同意していただけた場合は、検査・ポリープ切除などを安全に行うために血液の検査を行います。さらに、メディカルスタッフからくわしく検査の説明をして前処置の薬をお渡しします。
おなかクリニックでは、大腸内視鏡検査中に切除した方がよいと思われるポリープなどが見つかった場合は、その場で内視鏡的ポリープ切除術(日帰り手術)を行います。
健康診断のときの血液検査のデータなどがある場合は、かならず初診時に持参して見せてください。診療の参考にさせていただきます。
2検査前日の前処置
大腸内視鏡検査は、大腸の中の便を全部出して空にしないと検査ができません。便が残っているとその部分は観察できませんので、検査の精度が下がります。
腸を空にする方法(前処置といいます)は、まず前日に検査食という便にならないインスタントの食事を3食食べます。前日の夜に下剤(ラキソベロン10錠)を飲みます。
便秘気味の方は、あらかじめ整腸剤や酸化マグネシウム製剤などで大腸の中にたまっている便を出しておいていただけると前処置がスムースにできます。硬い便が詰まった状態でいきなり強力に下剤をかけると激しい腹痛がおきたり、冷や汗がでて貧血症状を起こしたり、最悪の場合には大腸が破裂することもあり、とても危険です。
3検査当日の前処置
前日の下剤の作用で、朝方何回か排便があります。朝から腸の動きをよくする薬(ガスモチンと大腸の中の泡を消すお薬(ガスコン)を2錠ずつ飲んで頂き、それから2時間かけて腸管洗浄剤(モビプレップ)1.5L+水・お茶1Lあるいはニフレック2リットルを飲みます。2リットルというと多くて飲めないと思われるかもしれませんが、10分ごとにコップ1杯(180ml)を飲めばよいのです。朝の8時から飲み始めたとすると、およそ1時間後9時前後から下痢が始まります。10時に飲み終わったあと11時から12時頃まで何回か下痢をします。便が尿のような黄色の水のようになります。
検査は通常午後からです。予定時間の30分前までにクリニックにお越しください。途中で便意をもよおすこともありますので、換えの下着、タオルなどをお持ちください。どうしても心配であれば、パンツタイプの紙オムツを使用してください。
午前中の検査の場合は、来院時間が10~11時となりますので、午前5~6時ころからご自宅で前処置の腸管洗浄剤をお飲みいただきます。
院内での前処置を希望される場合は、指定された時間に来院してください。クリニック4階の前処置用スペースで前処置の腸管洗浄剤を飲んでいただくようになります。4~6名の方が一緒に前処理をされます。トイレは洗浄機能付きのトイレを男性用2か所、女性用2か所、処置用トイレ1か所用意しています。
洗浄機能のあるトイレ付き個室での前処置も可能です。個室使用料は19,800円(税込)です。個室での前処置を希望される方は、検査予約時にお申し出ください。
4検査用の下着、検査衣に着替えます
前処置が終了し、便にカスがなく黄色い尿のようになったところで、検査を快適に受けていただけるように、男女別のロッカールームで検査用下着と検査衣に着替えます。足元については、スリッパをご持参いただくか、脱ぎやすいスニーカーでご来院ください。
5大腸内視鏡検査
3階の内視鏡検査室にて大腸内視鏡検査を行います。検査がつらくないよう、痛み止めの薬と眠くなる薬を使用します。また、大腸をすみずみまで観察するために気体を入れて腸を膨らませますが、その際には空気ではなく炭酸ガスを使っています。炭酸ガスは吸収が早く、おなかの張りがすぐ収まるためおなかが張る検査中のつらさも大きく軽減しています。
6大腸ポリープについて
大腸内視鏡検査でポリープが見つかった場合、小さなもので外来手術が可能なものは、その場で切除が可能です。ポリープ切除術という手術になると術後1~2週間、食事・飲酒の制限、運動の制限がありますので、宴会・旅行・出張などは控えてください。まれではありますが、術後に出血したり、穿孔などのために腹痛が起きることがあります。
血液をサラサラにするお薬(抗凝固剤・抗血小板剤など)をのんでいる方などは、検査時のポリープ切除ができませんので、あらかじめ外来にてこれらのお薬を中断していただくなどの休薬について相談をしっかりと行っています。
7検査後はリカバリールームでお休みします
検査後は、リカバリールームで1時間ほどお休みいただきます。
8内視鏡検査の結果説明
内視鏡検査の結果説明は原則後日受診していただいたときに行います。検査当日は鎮痛剤、鎮静剤などの眠くなるお薬の影響で頭がボーっとしていることが多く、説明を受けても内容をよく覚えていないことがよくあります。当日は帰宅されてゆっくりと休まれてください。検査当日の車の運転、機械類の操作、飲酒はおやめください。
どうしても検査当日の結果説明を希望さえる場合は、すべての検査終了後、あるいは外来診療終了後となりますので、院内あるいは院外に外出してお待ちください。
9会計をして終了です。
大腸内視鏡検査の費用
費用は、初診時が、およそ5,000円、大腸内視鏡検査のみの場合は、3割負担の方で1万円前後、組織検査を行った場合は、1万3,000円から2万円、ポリープ切除を行った場合は、2万4,000円から3万円前後となります。
大腸内視鏡検査の危険性・偶発症について
大腸内視鏡検査・ポリープ切除などの内視鏡的手術・検査のための前処置には、偶発症があります。代表的な偶発症は、感染、出血(頻度はおよそ1%)や穿孔(腸に穴があくこと:頻度はおよそ0.1%)などです。また、苦痛の少ない内視鏡検査を行うために鎮痛剤・鎮静剤を使用することによって、血圧低下・呼吸抑制などが起こることもあります。内視鏡検査は、残念ながら100%安全な検査ではありません。これらの説明に納得し同意していただけた場合は、検査・手術同意書に署名をしていただきます。
万が一、感染、出血、穿孔などがおきた場合は、連携する病院に入院して治療します。場合によっては、緊急手術が必要となります。この場合の入院治療に必要な医療費は患者さんの負担となりますのでご了承ください。
内視鏡検査の精度について
胃内視鏡検査も大腸内視鏡検査も、残念ながら100%完璧な検査ではありません。大腸に10個ポリープがあった場合に、内視鏡検査で発見できる確率は8.5個といわれています。
ポリープ切除を受けた方は、1年後にフォローアップの内視鏡検査をかならず受けてください。万が一見落としがあっても1年以内であれば、それほど大きくならずに切除することが可能になります。
よくある問い合わせ
1便秘ぎみの方の場合、前の日の下剤をのんでも検査当日排便がない場合があります。
この場合は、腹痛やおなかがはった感じがなければ、検査当日にのむガスモチン錠2錠を服用して、腸管洗浄剤(モビプレップ・ニフレックなど)を飲み始めてください。もしも腹痛やおなかが張って苦しい場合は、無理をしないで、残りの腸管洗浄剤をもって朝の9時以降クリニックに来てください。浣腸をして便を出してから、残りの腸管洗浄剤を飲んでいただきます。
2腸管洗浄剤(モビプレップ・ニフレックなど)を飲み始めてから気持ちがわるくなり吐いてしまった。
この場合は、無理をしないで飲むのを中止し、吐き気がおさまってから、残りの腸管洗浄剤(ニフレック)を持って朝の9時以降クリニックに来てください。
3検査・手術後に出血した。
便に血液が付着する程度あるいは紙に付くぐらいであれば、まったく心配ありません。
内視鏡的ポリープ切除の手術になった場合は、お帰りのときに、緊急用電話番号と院長の携帯電話の番号をお知らせしています。
強い腹痛がある場合、大量に出血したり赤黒い血液の塊が大量にでた場合は、これらに電話をしてください。会議などに出席していて出られないこともありますので、留守番電話に録音していただき何回かかけてみてください。
大腸CT検査
大腸内視鏡検査にはどうしても抵抗があるという患者さんには、大腸CT検査をまず受けられることをおすすめしています。
この検査は大腸に炭酸ガスを送りこんでレントゲン撮影をするもので、仮想内視鏡検査と呼ばれています。内視鏡検査に比べて前処置も楽です。ただし、病変と疑わしいものがあった場合には、改めて内視鏡検査を受けることになります。いろいろなお考えを持った患者さんにできるだけ多くの選択肢を提供したいということから、この検査を導入しています。
目安として、大腸CT検査では、5mm以下のポリープが見つかった場合には経過観察し、5mm以上のポリープがあった場合には改めて内視鏡で検査し、切除することになります。