「おなか仲間」の部屋

2016.05.12更新

1. はじめに

ポリープ癌に対する内視鏡的ポリープ切除術に始まった胃癌に対する内視鏡的治療は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)の手技の確立により広く普及し、最近では内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)へと進化発展しました。

2. 胃癌に対する内視鏡治療の現況

胃癌に対する根治的な内視鏡治療の第一選択としては内視鏡的粘膜切除術が広く行われるようになりました。2チャンネル法に始まり、キャップを用いた方法や増田らにより考案された食道静脈瘤結紮用のデバイス(EVL)を用いた方法などが行われています。またわれわれの考案したEMR困難部位へのアプローチを容易にし、一括切除率の向上をはかるための経皮経胃壁内視鏡下粘膜切除術ー胃瘻を用いた粘膜切除術(PTEMR)も行われています。
胃癌に対する腹腔鏡下手術は、まず自動縫合器による胃を楔状に部分切除することから始まり、次に大橋らにより腹壁から胃内に直接腹腔鏡と鉗子類を入れて粘膜切除を行う腹腔鏡下胃内手術が考案されました。最近では、より根治性の高いリンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下幽門側胃切除術も行われるようになってきました。また切除不能胃癌に対しては腹腔鏡下胃空腸吻合術が行われます。
またレーザー治療に代表される組織破壊法も早期胃癌の治療に単独で用いられるばかりでなく、EMRで不完全切除に終わった場合の追加治療法として高く評価されています。加えて進行癌に対するQOLの向上をめざした姑息的治療としても有効であります。さらにはバルーンカテーテルを用いた拡張術、ステント挿入術なども行われます。

3. 内視鏡治療の適応

このように早期胃癌の根治を目指した治療とQOLの改善をめざした姑息的治療のために様々な手技が行われるようになってきました。胃癌の内視鏡治療の適応はと問われれば、2次・3次リンパ節転移を伴い開腹術によってのみ切除が可能な進行胃癌以外はすべてが適応となります。もちろん技術的に可能なことが臨床的に有用であるとは限らず、内視鏡治療の適応も、とくに根治的治療については、広く受け入れられる合理的ものでなくてはなりません。しかし本来術式の適応は、適応が一人歩きするものではなく、患者さんそれぞれの身体的条件や社会的条件によって柔軟に対応できるものでなくてならないのは言うまでもありません。

4. 根治的治療としての適応

内視鏡的粘膜切除術については、「リンパ節転移のないと考えられる粘膜内に限局する高分化型腺癌ー隆起型で20mm以内・陥凹型では10mm以内で潰瘍瘢痕を伴わない」が現在得られているコンセンサスであります。今後の方向としては、高分化型腺癌であれば表面隆起型(IIa)で30mm、表面陥凹型(IIc)で20mmまでは拡大可能でしょう。一括切除にこだわらなければ、現在の技術でこの適応の拡大は十分に達成可能であります。
問題は、低分化型腺癌であります。現在絶対適応からははずしている施設が多いのですが、われわれの経験では、10mm以下であれば完全切除が可能と考えています。ただし浸潤範囲の同定が難しい場合があるので、十分に広範囲に切除する必要があります。またレーザー治療の追加も根治性を向上させる上で有効であります。
深達度については、粘膜下層に微小浸潤であれば十分に根治が得られると思われますが、脈管浸潤を伴う場合や粘膜下層に広く浸潤する場合は、リンパ節転移の頻度が約15%あることを考えれば、なんらかの追加治療が必要となります。
腹腔鏡下胃部分切除術では、胃の全層切除が行われ、近傍のリンパ節の検索も可能であることから、粘膜切除術よりも適応の拡大がはかれます。つまり粘膜下層まで浸潤のみられる高分化型腺癌や潰瘍瘢痕を伴う陥凹型の早期胃癌そして低分化型腺癌も浸潤範囲が同定できれば対象となりえます。通常早期胃癌のリンパ節転移は一次リンパ節にみられることが多く、一次を飛び越していきなり二次リンパ節のみに転移することはまれであるので、一次リンパ節を術中に迅速病理診断に提出し、転移がなければ局所切除で根治が得られます。転移があれば、そのまま系統的リンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下胃切除術を行うか、開腹術に変更します。腹腔鏡下胃部分切除術で注意しなければならないのは切除断端が外翻してしまうので、断端再発のチェックが難しいことであります。このためサージカルマージンは粘膜切除術の場合よりも大きくとらなくてはなりません。また胃の形態によっては術後の狭窄と胃内容の停滞に留意する必要があります。とくに前庭部では要注意であります。したがって腹腔鏡下胃部分切除術の場合、病変の大きさの面からの適応拡大は慎重を要します。
腹腔鏡補助下幽門側胃切除術の適応については、まだ議論の多いところであります。2次リンパ節である7番、8番の郭清も可能であることから規約上のD2郭清は可能となります。つまり理論的には1次リンパ節転移のあるN1症例までが適応ということになります。また漿膜浸潤のある場合や広範なリンパ節転移のある症例では、ポート部の再発を考慮しなければならず、リンパ節の問題だけで適応を決められるわけでもなさそうであります。今後の検討を要する問題であります。

5. 姑息的治療としての適応

胃癌に対する姑息的治療としての内視鏡的治療は、患者さんのQOL改善のために行われます。すなわち出血部位や狭窄部に対するレーザー治療、バルーン拡張術、ステント挿入術などが行われます。また減圧目的あるいは経腸栄養のための経皮内視鏡的胃瘻造設術も行われています。 姑息的治療としての腹腔鏡下手術は、バイパス術としての胃空腸吻合術、癌性腹膜炎に対する診断を兼ねた腹腔内抗腫瘍薬注入用リザーバー留置術などが行われます。
以上、胃癌に対する内視鏡治療の現況と適応について概説しました。議論のある点も多々ありますが、今後器械の進歩とわれわれの技術の向上により内視鏡治療はますますその適応を広げていくことはあっても、狭まることはないでしょう。

―早期胃癌の摘出標本像―

早期胃癌の摘出標本像
―進行胃癌の内視鏡像―

進行胃癌の内視鏡像
―進行胃癌の摘出標本像―

進行胃癌の摘出標本像

 

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