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おなかクリニック”おしりセンター”新設

おなかクリニックの移転、拡張に伴いまして、肛門疾患を今まで以上により専門的に診療するために、"おしりセンター"を新設いたしました。皆様のおしりの悩みを解消し、快適なおしり生活を過ごしていただくために、専門スタッフと診療内容のさらなる充実をはかり、またクリニックにお気軽に受診いただける環境づくりに取り組んでまいります。

1. 内痔核

いわゆるイボ痔です。排便時の出血や脱肛(イボが出る)が主な症状であり、痔の半数以上を占めます。脱肛の時以外、あまり痛みはありません。症状により、4段階に分類され、軽症の場合は、まずは内服・軟膏治療を選択します。難治性や重症の場合は、注射療法や手術をお勧めいたします。
従来、痔核治療の中心は手術(結紮切除術)でした。根治性に優れた治療方法ですが同時に、痔の手術は痛い、出血するという印象を与えてしまいました。
2005年、内痔核に薬液を注射し固めてしまう、ジオン療法が登場しました。翌日の排便時から出血、脱肛がほぼ消失する有効性もさることながら、術後の痛み、出血がほとんどありません。
しかし、すべての痔核をジオンだけで治療することはできません。切除が必要な痔核において手術方法を吟味した結果、おしりセンターではジオン療法に加え、切除術を補助的に付加する併用療法を確立しています。単独、併用も含めて、痔核治療の約90%の手術にジオンを使用しております。つまり痔核の治療は、次第に痛くない方法へと進化しているのです。

2. 血栓性外痔核

いきみや便秘、下痢などが引き金となり、突然の激痛とともに出現する、固めのイボ痔です。その正体は血の塊であり外見も血マメのようです。表面が破れて出血することもあります。ほとんどの場合、痛みは数日で、イボは2-3週間で自然に治るので、当おしりセンターでは手術せず、内服薬と軟膏で治療します。

3. 皮垂

常におしりの外側に飛び出ている、茶色のやわらかいイボ痔です。痛みも出血もありません。血栓性外痔核、内痔核、裂肛などの炎症の名残と考えられています。かゆみを伴う場合や、美容上気になるのであれば手術で切除いたします。手術も炎症を引き起こしますので、切除しても再度、皮垂が発生することがあります。

4. 痔瘻

いわゆる穴痔です。肛門の内側から肛門周囲の皮膚にかけて、瘻管(膿のトンネル)ができてしまう痔です。疲労、下痢などがきっかけになり得ます。おしりセンターの調査では、喫煙も重要な因子でした。男性に多いといわれています。
瘻管の出口から出血や排膿が続き、痛みを伴います。瘻管は消失しないものの、まれに出口が自然閉鎖し小康状態となることもありますが、多くの場合再発します。何十年も炎症が続くと癌化するとも言われています(痔瘻癌)。しばしば肛門周囲膿瘍が先行します。
また、痔瘻は難病指定されているクローン病と共存することがあります。特に若い男性に好発し、診断には大腸内視鏡検査が欠かせません。
痔瘻は基本的には、手術しないと治りません。

これらの術式を病状に合わせて選択いたします。

5. 肛門周囲膿瘍

おしりの周囲が膿む病気の総称です。腫れて熱をもち強い痛みを伴います。まともに座ることもできませんが、ある日突然、自然に膿が出てきて楽になることがあります。しかし楽になったからといっても治ったのではなく、ほとんどの場合は繰り返されます。多くの場合、痔瘻に移行し根治的手術が必要となるのです。自然排膿されない場合は、発熱、痛みが持続するため、緊急避難的な処置として切開排膿術を行います。
糖尿病や腎不全などの持病がある方は、治療が遅れると広範囲の組織が腐って死にいたることもあります(壊死性筋膜炎:フルニエ症候群)。

6. 膿皮症

肛門周囲膿瘍の原因で、膿皮症は痔瘻との鑑別(区別)が必要な病気です。皮膚には、汗腺や毛嚢など様々な穴があり、それらに細菌が感染し難治性の膿瘍(膿のかたまり)となる病気です。肛門から少し離れたおしりに、膿の穴ができ排膿が続きます。皮膚は硬く、濃い茶色に変化するのが特徴的です。
痔瘻と異なり肛門との連続性はないのですが、時として、鑑別が困難な場合があります。
再発が問題となりますが、治療は手術です。皮膚移植が必要なほど広範囲の場合は、入院が必要です。

7. 毛巣洞炎

膿皮症と同様、毛巣洞炎も肛門周囲膿瘍の原因であり、痔瘻との鑑別が必要な病気です。尾底骨近くのおしりの谷間に、膿の穴ができ排膿が続きます。
治療は手術です。おしりの谷間はキズの治りが極めて弱いので、抜糸は2週間後に予定します。しかし、抜糸後キズが開いてしまうこともしばしば発生します。キズが開いても心配ありません。2カ月ほどかかりますが自然治癒いたします。そのため、はじめから開放創とする場合もあります。

8. 裂肛、慢性裂肛

いわゆる切れ痔です。排便時の鋭い痛みと鮮血が特徴的です。初期段階では軟膏治療や排便コンロールで軽快しますが、再発を繰り返しながら次第に悪化します。慢性化すると難治性潰瘍となりイボも出現します。さらに悪化し、狭窄症状が認められた場合は手術が必要となります。手術は、イボを含め潰瘍瘢痕を切除し、場合により括約筋を少し切り、おしりを緩めます(側方皮下内括約筋切開術 lateral subcutaneous internal sphincterectomy : LSIS)。

9. 肛門狭窄

文字通り、肛門が狭くなり、排便障害を引き起こす状態です。長期に及ぶ慢性裂肛や、過去の肛門手術によるひきつれなどが原因となります。排便コントロールで効果がなければ手術いたします。狭窄を解除するため、括約筋を少し切る場合と、後方の皮膚を肛門に移動させる場合があります(Sliding skin graft)。

10. 肛門ポリープ

症状は出血や痛みの少ない脱肛です。自覚症状からでは痔核との鑑別が困難ですが、ポリープは白色調を呈することが特徴的です。悪化すると裂肛を伴い、出血や痛みも発生します。大腸のポリープと異なり、癌化の心配はありませんが内視鏡で切除することは困難です。
治療は手術で切除いたします。

11.直腸脱

肛門括約筋の機能障害、つまりおしりが緩んでしまって腸が脱出する病気です。多くの患者さんはご高齢の女性です。ピンク色の直腸粘膜がドーナツ状に飛び出ます。粘液が付着し不快であるばかりか、出血も高頻度です。
様々な手術方法がありますが、おしりセンターでは、もっとも簡便な術式を選択いたします。直腸の粘膜を数十か所ほど縫い縮め、さらに、3mm幅ほどのベルトを人工靭帯として埋め込み、おしりをきつくする方法です(Gant-三輪 Thiersch法)。
人工靭帯にばい菌がついた場合(感染)は、取り除かなければなりません。

12. 尖圭コンジローマ

肛門周囲や肛門(管)内に、特徴的なイボができます。ゆっくり大きくなり、出血を伴うことがあります。原因はウイルス感染です。肛門周囲だけに限局している場合は、軟膏治療が効果的ですが、大きい場合や、肛門(管)内にも発生している場合は手術で切除いたします。原因がウイルスですので、再発することもあります。


手術前の準備

経口摂取(飲み食い)は、ご来院の3時間ほど前にはお済ませください。
ご来院後は、浣腸と点滴をいたします。

麻酔・手術

おしりの手術はすべて日帰りで行いますので、歩行と排尿に影響の少ない、仙骨硬膜外麻酔を行います。尾底骨の近くに麻酔剤を注射いたしますが、採血ほどの痛みです。10分ほどで効果が出現し、手術中は痛みを感じません。稀ですが効果が不十分な場合は、局所麻酔を追加することがあります。また、場合により腰椎麻酔を行なうこともあります。
さらに、点滴から緊張を軽減するお薬も追加いたしますので、とてもリラックスした状態で手術を受けていただけます。
ほとんどの手術は30分前後です。うつ伏せで手術します。お話ししながら進めますので、不安なことなどございましたら、手術中でもお気軽にお尋ねください。

術後の痛み

ジオン療法のみの場合、術後の痛みはほとんどありません。ジオン療法以外は、何らかの形でメスが入ります。個人差はありますが、多少痛み、出血は伴います。術後は、痛み止めなどの内服治療を用意します。内服以外に更に痛みを取り除く方法として、持続皮下注療法が効果的です。小さなポンプを携帯し、留置した細い注射針から鎮痛剤を注入する方法です。


術後の生活

手術当日以降の注意事項

術後の痛みを少しでも軽く、また術後の出血などのトラブルを避けるために、以下の点にご注意ください。

【食事】

【排便】

【肛門の処置】

【運動】

【入浴】

【通院】

【その他】


大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

健康診断で便に血が混じっていたら(便潜血陽性)、ほとんどの病院、医院では大腸内視鏡検査を勧めます。おしりセンターでは、おしりのお悩みで来院される方にも大腸内視鏡検査をお勧めしています。なぜなら、痔からの出血と大腸癌からの出血をすべて区別することは不可能だからです。痔だと思っていたら、大腸癌も発見された方は少なくありません。

大腸癌

日本人に大腸癌が増加しています。最近のデータ(平成20年厚生労働省)では、悪性腫瘍(癌)による死亡順位は、女性では平成14年頃に胃癌を抜き大腸癌が1位、男性では平成18年頃に肝臓癌を抜き、大腸癌が3位です。今後も減少する傾向はありません。食生活や生活様式の変化が原因の一つと考えられていますが、確実な予防策はなく、早期発見、早期治療がとても重要です。そのために大腸内視鏡検査は不可欠な検査なのです。
内視鏡治療も手術も進化しており、大腸癌の進行度により治療法が異なります。おしりセンターでは、日帰り可能な内視鏡手術を行なっております。入院での治療が必要な場合は、関連施設にご紹介いたします。

アンケートのお願い

"おしり"の病気、特に痔は生活習慣が深く関与していると考えられています。受診患者さんの生活習慣をアンケート調査、分析することで、痔の発生予防に役立てようと考えています。
また、手術や大腸内視鏡検査を受けられた患者さんへのアンケート調査も実施しております。皆様のご意見を拝見し、より快適な"おしり生活"のために、今後の医療に役立ててまいりたいと存じます。